● シンポジウム1 「エキスパートに学ぶ撮像技術;上腹部領域推奨撮像法を読み解く」

10月30日(土)10:20~11:20(第一会場  1F多目的ホール)

                                  座長: 栗原市立栗原中央病院                 吉田  礼

                                  演者: 新潟大学医歯学総合病院                 齋藤 宏明

 本講演では日本磁気共鳴技術者認定機構(以下,JMRTS)の活動の一環として作成された各領域の推奨撮像法(以下,推奨条件)における上腹部領域を取り上げる.臨床現場においては,診療情報の高い画像を供するために,撮像条件のアレンジなどを行わなければならない場面がある.このようなときMRI画像診断を専門とする医師がいれば,必要とされる画像を検査技術者と共有し撮像条件を再構築することが可能であるが,全ての施設がこのように恵まれた環境であるとは限らない.今回作成した推奨条件は,専門医師が不在の施設に向けて検査技術者が,診断に必要な画像や画質の提供を行う上で参考になる情報として考えており,さらにMRI検査に携わる方への一助になれば幸いである.

1.推奨条件のコンセプトと概説

 本推奨条件は,肝臓,膵臓,MRCP,小児,自由呼吸の5つに大別し構築した.構築にあたり汎用性を考え1.5Tでの検査を想定し,現在から2-3年程度は使用できる条件となるよう検討を重ねた.

 肝臓については肝特異性と細胞外液性の2つの造影剤を使用した検査を想定した.膵臓は撮像対象を胆膵の局所に限定し,空間分解能や求められる画像情報を肝臓と区別した内容で構築した.MRCPは施設によっては単独で検査を行う可能性があるため膵臓とは別に提示した.検査依頼の頻度が少ない小児検査への対応についても,呼吸同期の方法や空間分解能の設定指標になるように追加した.また,検査対象者の高齢化や状態の悪い患者の撮像機会も増えてきており,体動に強いシーケンスの設定条件やradial samplingを併用した自由呼吸下での撮像も想定し撮像条件を構築した.

2.推奨条件の構築にあたり検討班で議論になった技術の解説

 検討を行う中で,メーカーによるシーケンスの名称や技術的な差異,アプリケーションの可否などが課題として表面化した.このため,推奨条件を閲覧する中で疑問を解決できるように巻末資料を追記し,マルチベンダーのユーザーが参考になるように配慮した.

3.呼吸を制するものが上腹部MRI検査を制する

 様々な技術を駆使して上腹部のMRI検査を行っていくが,最も重要なことは患者の呼吸をいかに制御するかである.患者の協力なくして上腹部MRI検査の成功はないと考えられる.本講演では技術論に主体をおくが,このことに慢心することなく目の前の患者への説明と理解,協力を得ることを忘れてはいけない.

● シンポジウム2「災害時の診療放射線技師の安全管理」 

10月30日(土)13:00~14:00(第一会場 1F多目的ホール)

       第一部 東北支部医療安全班企画「災害時における医療安全を考える」

                                  座長:    山形県立中央病院            荒木 隆博

                                      東北医科薬科大学病院          田浦 将明

 2011年の東日本大震災から、10年が経過した。いくら時が経とうとも、震災の記憶は、風化させてはならない。近年では、台風や豪雨など多くの自然災害が発生している。そこで、今回は、福島開催ということも鑑み、災害時における医療安全管理、患者ならびに職員の安全確保、診療や検査の継続可否等を、改めて考えてみたい。実際に災害を経験した演者の方々より、診療放射線技師が災害に対し、どのように対応すべきか、どう準備しておくべきかを報告いただき、ディスカッションを行い、自施設の災害時における医療安全対策やBCP策定の参考になれば幸いである。

         「東日本大震災における災害状況と医療安全」

                                      石巻赤十字病院           及川  林

          「台風19号による災害状況と医療安全」

                                       星総合病院           續橋 順市

             「災害時における健診業務」 

                                       岩手県予防医学協会  久保田憲宏

● シンポジウム3「医療法施行規則改正における施設の現状」

10月30日(土)17:30~18:30(第一会場 1F多目的ホール)

                                  座長: 東北大学病院          中田  充

                                      秋田厚生医療センター      佐藤  均

 令和2年4月に医療法施行規則の新たな規定により,病院管理者が確保すべき安全管理体制の一つとして診療用放射線に係る安全管理体制が加えられた.具体的な運用については各施設で指針を作成し,指針に沿った運用が行われていると考える.血管撮影領域の安全管理において,線量記録管理,インフォームドコンセント,有害事例発症持の対応は特に重要と考える.今回は指針策定から1年以上経過した現状の問題点について検討する.

                「線量記録管理」

                                  演者:  一般財団法人 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 大原 亮平

 当施設では,線量管理ソフトの導入が遅れており,RIS入力を用いた線量データ集計で管理している.当施設で保有している血管造影装置4台はメーカーが異なるため,それぞれの基準透視線量率,Ka,rおよびPKAに違いがあることを把握しているが,線量管理・評価にその点は考慮していない現状である.またDRLs2020と比較するために,RISに入力項目を造設し対応しているが,とくに頭部では病名ごとに細分化され,煩雑さを感じる.線量管理における現状の課題と導入予定の線量管理ソフト活用について報告する.

             「インフォームドコンセント」

                                  演者:  岩手医科大学附属病院      岩城  龍平

 令和2年4月に医療法施行規則第1条の11第2項第3号の2による新たな規定により,医療放射線に関する安全管理が加えられた.当院においても診断参考レベルに基づく線量の最適化や,従来のExcelベースでの線量管理から線量管理ソフトへの移行などを行った.その中でも今回,検査毎の被ばくに対するインフォームドコンセントについて当院での取り組みを作成した書式や院内ルールなどを交えて紹介していく.

              「有害事例発症時の対応」

                                  演者: 秋田県立循環器・脳脊髄センター  加藤 守

 2020年の医療法施行規則改正に合わせて,医療放射線安全管理委員会を組織し,病院の新たな委員会組織として承認を得た.委員会では診療用放射線の安全利用のための指針案を策定することを第一目標とし,診療用放射線の安全利用研修の実施や被ばく線量管理・記録の統一化,診療用放射線の安全利用に関する様々な事案を取り扱う委員会とした.指針の中には,過去の放射線皮膚障害や脱毛等の経験から,①放射線の過剰被ばく,その他の放射線診療に関する“有害事例等の事例発生時”の対応に関する基本方針,②医療従事者と放射線診療を受ける者との間の情報の共有に関する基本方針,③IVR等の放射線診療における放射線量が放射線障害(皮膚障害や脱毛等)発生の注意喚起レベルを超えた放射線診療を受けた者への対応を明文化し運用を行っている現状を報告する.

● 入門セミナー 核医学 「気付くと100倍楽しい核医学②」

10月30日(土)10:00~11:00(第二会場 3F講義室1)

                                  座長: 秋田県立循環器・脳脊髄センター  佐藤  郁

 多くの技師が複数のモダリティを掛け持ちで検査している現状があります。この場合、若い方々は既に決まっているプロトコルを使用し、ルーチン業務を覚えることから始めています。決められたプロトコルで提出している画像について詳しく検証、検討するまでには知識と時間が必要となります。

 本企画はローテータや核医学未経験の方を対象に核医学の押さえておくべき画像のポイントを視覚的にわかりやすく伝えることを目的としています。今回は、心筋検査と肺検査について、少しでも皆様の日常業務に役立つ情報を提供したいと考えておりますので、奮ってご参加ください。画像のポイントを覚えることで、日常業務で提出している画像が、「本当に病変をとらえることができているのか」、「改めて画像処理方法を考えてみよう」など、興味を抱いて頂けると幸いです。

          「活かす心筋シンチ!-撮り方、使い方-」

                                  演者: 市立秋田総合病院         鎌田 伸也

 心筋シンチグラフィは50年以上の歴史があり、膨大な経験から多くのエビデンスが確立されております。また、平成30年(2018年)度診療報酬改定により、安定冠動脈疾患における待機的な経費的冠動脈インターベーション(PCI)算定要件に心筋シンチグラフィやFFRなどを含めた機能的虚血評価が加えられ、あらためて心筋シンチグラフィの役割は大きくなっております。このような背景から診療を行う医師からは精度の高い検査を求められており、診療放射線技師は技術だけではなく臨床的知識も含めた幅広い知識を身に付け、正しく診断するための画像を提供することが必要です。本テーマでは心筋シンチグラフィを日常診療に活かすための撮り方、使い方についてファントム画像や臨床画像を交えて分かりやすく解説したいと思っております。明日からの臨床の現場で心筋シンチグラフィ検査が精度の高い検査となるよう、少しでも役立ていただければと考えております。

           「肺血流・肺換気シンチのポイント」

                                  演者: 東北大学病院                  小田桐逸人

 肺血流シンチは、肺梗塞の原因となる血栓の診断や治療効果、肺がん手術前評価、血流の右左短絡評価などで用いられる検査です。肺換気シンチと組み合わせることで、より正確な診断が可能となり、換気・血流ミスマッチの情報は非常に診断上有用となります。肺血流・肺換気シンチで的確な検査を施行し、診断に有用な画像を提供するためには注意すべき点があります。放射性医薬品の特徴や投与時の注意点、撮像方法などわかり易く解説し、実際の画像を提示し臨床の現場で役立つ情報を提供したいと思います。

● Wilhelm camp 

10月30日(土)11:20~12:20(第二会場 3F講義室1)

                            コーディネーター: 東北大学 大学院医学系研究科保健学専攻  佐藤 和宏

                                      新潟手の外科研究所病院                        風間 清子

                                      栗原中央病院                                 吉田  礼

                                      東北大学病院                                 髙根 侑美

                                      秋田県立循環器・脳脊髄センター           加藤  守

                                      秋田県立循環器・脳脊髄センター           大村 知己

              「Wilhelm campについて」

 当研究班は、参加者の皆様に学術論文の効率的な書き進め方、研究発表の仕方や発表スライドの作成法について、講義と演習により修得していただくことを目的に活動しています。活動内容やこれまで参加された方の主著論文(英文、和文)について、JSRT東北支部ホームページに掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

・東北支部研究班 Wilhelm camp: https://jsrt-tohoku.jp/wilhelm-camp/

            「Wilhelm camp@TCRT2021」

 第11回東北放射線医療技術学術大会(TCRT2021)において、Wilhelm campでは研究発表スライドおよび論文作成等に関する相談コーナーを設置いたします。そこでは、皆様方からの疑問や質問の他、あらゆる相談事についてスタッフが個別に対応いたします。本企画の対象は過去にWilhelm campに参加された方の他、参加経験がなくても本企画に興味を持った方、研究意欲のある方です。なお、運営の効率化のため、参加を希望する方はあらかじめ以下のURLよりお申し込みくださいますようお願いいたします。

・お申し込みURL: https://forms.gle/f1gdpgdU4hBkCHQw5

 多数の方々のご参加をお待ちしております。

                        Wilhelm campスタッフ: 東北大学 大学院医学系研究科保健学専攻    佐藤 和宏

                                     新潟手の外科研究所病院                          風間 清子                                                           

                                     栗原中央病院                                   吉田  礼                                                        

                                     東北大学病院                                   髙根 侑美

                      Wilhelm camp特命スタッフ: 秋田県立循環器・脳脊髄センター、血管IVR班班長 加藤 守

                                     秋田県立循環器・脳脊髄センター、CT班班長   大村 知己

・お問い合わせ: wilhelm.tohoku@gmail.com

● 入門セミナー 医療情報 「PACSの管理について考える」

10月30日(土)13:00~14:00(第二会場 3F講義室1)

                                  座長:  坂総合病院           田中 由紀

        「Q&Aで学ぶ システム(RIS・PACS)管理の基礎」

                                  演者:  みやぎ県南中核病院  坂野 隆明

 多くの医療機関で様々な情報システムが導入され日々の業務に活用されている。診療放射線領域においてもRISやPACSなど情報システムが導入され普及している。また、DICOM規格に準拠した画像診断機器も普及し、撮影された画像はディジタルデータとして日常診療で利活用されている。

 診療放射線領域の情報システムには、放射線部門システム(RIS)や検像システム、PACSなどがあるが、そのシステム構成は製品ごとに様々であり多種多様な製品が販売・導入されている。これら様々な情報システムは日常業務の中で活用されているが、システムに障害(トラブル)が発生すると、業務への影響が大きく業務遂行が困難になる場面も発生するため情報システムへの依存度は大きいと言える。このため、情報システムを導入後は、検査機器と同様に情報システムについても日常点検(稼働状況確認)を行う必要があり、システムを「管理」する業務が必要となる。しかしながら、画像診断機器とは異なり情報システムには、ハードウエア・ソフトウエア・通信・運用などの要素から成り立っており、何をどのように管理するか、どのような手順で行うか分からない等の声も聞くことがある。

 また、情報システムの普及とともにDICOM規格についても診療業務へ広く取り入れられ重要な基盤となっている。DICOM規格による画像データには業務上日常的に触れているが、検査機器や情報システム間での画像通信にもDICOM規格によるデータの送受信が行われている。DICOM規格では、画像データフォーマット以外にも検査情報や線量情報など診療放射線業務と深く関連した内容が策定されている。PACSをはじめ情報システムの導入時にはDICOM規格や通信技術などの基本的な内容を理解し活用することで導入後の「管理」にも役立つ知識となる。

 本セミナーでは、システム「管理」について基礎的な事項や項目の整理を行い、日常の「管理」(管理って何をするの?・日々の管理は必要か?など…)について、前回セミナーでも行ったQ&A方式で解説を行う。また、情報システムに関連したトラブルへの対応方法や、障害の切り分けに役立つ日常の「管理」について、同様にQ&A方式で情報提供し日々の業務を再点検するための「気づき」が得られるよう解説する。

● スキルアップセミナー 乳房 「ディジタルブレストトモシンセシスの運用と課題」

10月30日(土)14:10~15:10(第二会場 3F講義室1)

                                  座長:    小国町立病院       伊藤 真理

       「ディジタルブレストトモシンセシスの運用と使用経験」

                                  演者: 北福島医療センター  齋藤 久美

       「Tomosynthesis 機能を用いた吸引式乳房組織生検」

                                  演者: 東北公済病院     川口 志保

       「ディジタルブレストトモシンセシスの基礎と精度管理」

                                  演者: 東北大学病院     千葉 陽子

 ディジタルブレストトモシンセシスが誕生してからおよそ10年がたとうとしている.トモシンセシスとは,tomography(断層)とsynthesis(統合,合成)からの造語である.1回の撮影で乳房に異なる角度でX線を連続(またはパルス)照射し,撮影後に画像を再構成することで,任意の断層画像を得ることができる.

 近年,このトモシンセシス機能を搭載したマンモグラフィシステムが多く普及しているが,さらに,トモシンセシス機能の利用はマンモグラフィ診断のみならず,吸引式乳房組織生検においても活躍の場を広げている.また,トモシンセシス画像から作成される合成2D画像が診断に有用であるか検討されているところでもある.日本においても,トモシンセシス搭載装置を導入している施設が増えてきた.トモシンセシス搭載装置を購入したい,しかし,運用がわからない.メリットデメリットがわからない.導入はしたものの,精度管理の方法がわからない,などという声が多数聞かれる.東北におけるトモシンセシス搭載装置の普及は,これから増えてくると思われ,この企画が皆様の要望と悩みを解決するため常に役に立って欲しいとの思いで,今回このような内容で企画した.

 そこで今回,トモシンセシス機能搭載装置の経験豊富な2施設より,施設での使用経験,運用や今後の課題等を講演していただきたいと思う.精密検査においてトモシンセシスを使用している北福島医療センターより,使用経験や運用について,また,トモシンセシスガイド下吸引式乳房組織生検について,東北公済病院より運用と課題について講演していただきたいと思う.品質管理においては,European Reference Organisation for Quality Assured Breast Screening and Diagnostic Services(EUREF) よりQCプロトコルが公表されてから世界に浸透しつつあるが,我が国においてディジタルブレストトモシンセシスにおける品質管理項目,および方法においては確立されておらず,日本においては課題となっている.今回,これら品質管理について日本の現状,そして世界の動向を踏まえ,報告していきたいと思う.

● シンポジウム4 「臨床画像を正しく評価しよう」 

10月31日(日) 9:00~10:00(第一会場  1F多目的ホール)

                                  座長: 東北大学病院             小野寺 崇

 日本放射線技術学会東北支部DR班では支部会員のニーズや要望を探索し、現在の問題点を反映させた企画立案を行っています。一昨年はディジタル画像の基礎について復習し、参加いただいた方からは好評の声をいただきました。アンケート調査においても基礎的な内容を継続する要望が多く、本年度も「臨床画像の正しい評価」をテーマに開催します。

 近年は、ほとんどの施設で検出器にフラットパネルディテクタ(FPD)が導入されていますが、まだまだ線量と画質の最適化がなされているとはいえず施設毎の線量差が大きい状況にあります。診断参考レベルが改定されたこともあり、最適線量について議論する良い機会であると考えます。そこでDR班員である以下のお二人に臨床画像ができあがる過程を踏まえご講演いただきます。

             「X線検出器の特徴と画質」

                                      山形大学医学部附属病院  服部 雅之

              「最適線量の考え方」

                                      岩手医科大学附属病院   太田 佳孝

 今年度はX線が患者様に入射し、透過X線が検出器に到達する過程を扱います。ご自身の施設で使用されている検出器の特徴をよく理解し、また求められている画質を実現するにはどのようにしていけばよいのかをお二人の講演をもとに皆様とディスカッションしていければと思います。来年以降は生データから画像処理を経た画像を評価する過程を扱う予定です。この2年間で東北支部における一般撮影技術のさらなる向上を目指していきますので、皆様ご参加の程よろしくお願いいたします。

● 入門セミナー CT

10月31日(日)14:10~15:10(第一会場  1F多目的ホール)

     「金属アーチファクトの発生原理とその低減技術:関連文献レビュー」

                                  座長:  山形大学医学部附属病院                         保吉 和貴

                                      大原綜合病院                                  村松  駿

                                  演者: 秋田県立循環器・脳脊髄センター            大村 知己

                                       東北大学病院                                  茅野 伸吾

 今学術大会でのCT研究班企画は,体内金属によるアーチファクトとその低減技術を取り上げる. X線が金属物体を通過する際には,その大きさや組成に応じた相互作用が起こり,著しいフォトン不足と線質硬化現象が発生する.その影響は投影データ上に大きな誤差を生じさせ,再構成画像上では強いアーチファクトとして確認される.体内金属によるアーチファクトは,画質に著しい低下を招き,延いては検査の診断価値を低下させる.

 金属アーチファクトによって観察することができなかった周囲構造を回復するために,現行のCT装置には金属アーチファクトを低減する技術が導入されている.その一つであるMetal artifact reduction(MAR)アルゴリズムは,金属によって生じた投影データ上の誤差を補正するものである.補正プロセスは金属によって誤差を生じた投影データ領域を特定し,領域内の投影データをエラーの生じない値に置き換えることによって行われる.修正された投影データを画像再構成することによりアーチファクトが抑制された画像を得る.また,Dual energy CT(DECT)低減手法も存在する. DECTの解析アルゴリズムのひとつである仮想単色画像の高keV画像によって,線質硬化現象の影響を少なくし,金属アーチファクトの低減が可能であることが知られている.

 これらの金属アーチファクト低減技術に関して,MARアルゴリズムは画像データの取得後に任意で適用することが可能である.一方で,DECTではCT装置機構によっては検査前に適用を決定しなければならない.またこれらの金属アーチファクト低減技術の臨床適用については,その原理と特徴のほか,そのピットフォールの存在を十分に認識して運用する必要がある.

 今回は,上記に関連した論文を取り上げ,レビューする.また,班員による臨床応用報告も併せて行う.本セミナーによって,金属アーチファクトの発生原理,金属アーチファクト低減技術の特徴,そして臨床のあらゆる状況に応じた最適な方法を選択できる技術習得に繋がることを期待したい.

  1. Katsura M, et al. Radiographics. Current and Novel Techniques for Metal Artifact Reduction at CT: Practical Guide for Radiologists. 2018; 38(2): 450-461.
  2. Shinohara Y, et al. Appropriate iMAR presets for metal artifact reduction from surgical clips and titanium burr hole covers on postoperative non-contrast brain CT. Eur J Radiol. 2021; 141: 109811.

● スキルアップセミナー 放射線治療「放射線治療における被ばく線量を考える」

10月31日(日)13:00~14:00(第二会場 3F講義室1)

                                  座長: 弘前大学医学部附属病院                         小原 秀樹

                                      新潟脳外科病院                                       滝澤 健司

         「CTの被ばく低減技術と放射線治療への影響」

                                      宮城県立がんセンター   後藤 光範

        「IGRTにおける被ばく低減と最適な線量の予測」

                                      秋田厚生医療センター   三浦 柊太

             「IGRTの線量測定技術・管理」

                                      福島県立医科大学附属病院  宮岡 裕一

 2020年4月より, 医療法施行規則の改正に伴い, 医療被ばくの正当化及び最適化について具体的な対応が求められている. 放射線治療分野においてもCTシミュレータや循環器領域の透視装置を位置照合等に使用している場合には既に対応している状況である. 日本医学放射線学会の「診療用放射線に係る安全管理体制に関するガイドライン」や日本放射線腫瘍学会の「医療法施行規則の一部改正に伴う放射線治療部門における対応について」においては, 放射線照射時の位置照合で使用するImage-guided radiotherapy (IGRT) 装置等, 法令における管理・記録対象医療機器等以外の装置についても, 対応可能な範囲で医療被ばくの線量管理及び線量記録を行うことが望ましいと提言されている. これらのことは, 現在CTシミュレータ等, 一部の医療機器のみで対応が必要な状況ではあるが, いずれIGRT装置も含まれる可能性が示唆される. 線量の管理において, 被ばく線量の最適化や品質管理は重要な項目であるが, 医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)から発刊されている診断参考レベルDRLs2020において, IGRT装置はもとより, CTシミュレータについてもDRLは設定されておらず, その管理方法は各施設ごとに検討し運用しているのが現状である. 

 本企画では, 被ばく線量の管理に焦点を絞って, CTシミュレータ, IGRT装置の被ばく線量低減が与える影響についての解説や実際の運用方法について紹介し, 被ばく線量測定・管理方法について参加される皆様と情報共有することで, 放射線治療分野における被ばく線量管理についてスキルアップすることを目的とした内容を企画した.

 CTシミュレータについては, 宮城県立がんセンターの後藤光範様より, 逐次近似再構成法等, 新しい画像再構成法における線量計算精度に及ぼす影響についても解説いただく予定である. IGRT装置については, 秋田厚生医療センターの三浦柊太様より, IGRTにおける被ばく低減の取り組みとその影響についてご紹介いただく. また, 福島県立医科大学附属病院の宮岡裕一様より, IGRT装置の精度管理項目である被ばく線量の測定技術や管理方法についてもお話しいただき, 講演される先生方と共に, 放射線治療分野においてもいずれ来るであろう被ばく線量管理について皆様と議論できれば幸いである.