JART企画

 JART企画 ①     10月11日(土)10:00~11:00 第4会場
原子力災害で求められる放射線技師の役割と人材育成~甲状腺簡易測定などの最新動向~

座長 : 福島県立医科大学附属病院 角田 和也
青森県立中央病院 三浦 巧磨
演者 : 弘前大学災害・被ばく医療教育センター 辻口 貴清
青森県健康医療福祉部医療薬務課 澤頭 大幹
福島県立医科大学   大葉 隆
仙台医療センター 越智 隆浩

 東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ,原子力規制委員会から原子力施設の新規制基準が施行され,複数の原子力発電所が審査を申請しており,審査を合格した原子力発電所は再稼働しているところである.東北では,2024年10月に女川原子力発電所が再稼働し,東通原子力発電所は審査中の段階である.
 その状況に伴い,原子力災害医療体制の整備や人材育成が進められており,2025年には原子力規制庁から日本診療放射線技師会が原子力災害医療協力機関に指定され,診療放射線技師の担う役割も大きい.本セッションでは,原子力災害医療体制の理解を深め,各施設での体制整備や人材育成の取り組みや工夫を共有することで,参加施設の原子力災害医療体制の強化に役立てもらいたい.
 また,原子力施設立地県外の診療放射線技師においても,専門的知識と技能を活かすことができる検査の1つである甲状腺簡易測定検査についても紹介する.これを機に,東北地域の原子力災害医療体制への理解と関心を深めていただき,協力体制が築かれていくことを期待する.

 JART企画 ②     10月11日(土)16:00~17:00 第3会場
東北におけるAutopsy imagingの現状と展望

座長 : 東北大学大学院  小林 智哉
市立角館総合病院  千葉 大志
演者 : 東北大学大学院  小林 智哉
奥州市総合水沢病院  高橋 伸光
福島県立医科大学附属病院  濱尾 直実

 Autopsy imaging (Ai) の対象は救急外来や院内症例だけではなく,警察が関わるような異状死も対象となり,受け入れを行う施設も各地に点在している.日本の解剖率はいまだに高いとはいえず,Ai の重要性や必要性は論を俟たない.その中で,東北における Ai 実施施設はいまだに多いとは言えず,現状把握すらままなっていない状況である.本企画ではいくつかの地域の現状を代表施設に紹介していただき,多くの施設に自施設の Ai 施行体制の整備について振り返るきっかけを提供する.また,最近の Ai 認定診療放射線技師に関する制度の実情や展望について紹介いただくことで,東北における Ai の機運を高めるきっかけとする.当該県の Ai 実施率の向上になにができるのかを考え,それを東北全体に波及させられるようなきっかけになるセッションを目指す.

 JART企画 ③     10月11日(土)16:00~17:00 第2会場
放射線治療における医療安全を考える

座長 : 山形大学医学部附属病院  山澤 喜文
八戸市立市民病院  田口 實行
演者 : 弘前大学医学部附属病院  木村 直希
太田西ノ内病院     庭山 洋
岩手医科大学附属病院  女鹿 宣昭

 近年,医療の現場では様々な体内植込み型デバイスや体内埋込み型インプラントが用いられており,これらを保有している患者の放射線治療を依頼される機会が年々増加してきている.放射線治療の適応の有無を判断する際には,リスクとベネフィットを天秤にかけ,患者の安全を確保したうえで治療が行われているものと推測される.植込み型心臓電気デバイス(CIEDs)については,関係学会よりガイドラインが発刊されているが,その他のデバイスやインプラントへの対応策については各施設の判断に委ねられている.今回の企画では,体内植込み型デバイスや体内埋込み型インプラント等保有患者の放射線治療の現状について報告していただき,各施設における対応策を再確認することを目的としている.また,放射線治療室内での患者急変時の対応についても報告していただき,起こり得るリスクに対処する術を学んでいただきたい.そして,安全な放射線治療を行うための体制づくりに役立てられることを期待する.

 JART企画 ④     10月11日(土)17:00~18:00 第2会場
低レベルインシデント報告を増やそう!

座長 : 山形県立中央病院  荒木 隆博
岩手県立中央病院   菅原 航
演者 : 岩手医科大学附属病院  岩城 龍平
大崎市民病院    森 透

 インシデントの多くは重大な結果に至る前段階で,見過ごされやすい兆候を伴っている.診療放射線技師が日々経験するレベル0・1の「ヒヤリ・ハット」は,将来の重大事例の兆しであると同時に,現場が正常に機能している証でもある.
 本講演では,「何が原因か」を追求する従来のSafety Iに加え,「なぜうまくいっているのか」に着目するSafety II(レジリエンス・エンジニアリング)の考え方を紹介する.低レベルインシデントの報告と分析が,いかにして安全文化を醸成し,プロアクティブなリスクマネジメントに貢献するかを放射線部門の実例を交えて考察する.日常業務での小さな気づきを共有し学ぶことの重要性を提言する.
 また,「小さな気づきが大きな事故を防ぐ」という信念のもと,病院全体で取り組んでこられたインシデント報告の推進と,それを基盤とした安全文化の醸成についても紹介する.電子カルテを活用した報告体制の整備や,職員の意識向上,特にレベル0・1のインシデントの蓄積と改善が,現場環境の向上や教育活動にも好影響を与えている点は非常に示唆に富んでいる.さらに,医療安全管理室を中心とした多職種連携による改善体制や,新人教育・安全教育の充実が,重大インシデントの未然防止と業務効率化に貢献している実例も紹介する.
 日常業務での小さな気づきを共有し学ぶ文化を根付かせることで,低レベルインシデント報告の活性化を目指したい.
 JART企画 ⑤     10月12日(日)9:00~10:00 第4会場
医療施設における障害のある方への合理的配慮

座長 : 弘前大学医学部附属病院  成田 将崇
竹田綜合病院  二瓶 秀明
演者 : 山形県立中央病院  佐藤 晴美
杜の都産業保健会  鎌倉 克行

 近年,障がいのある方に対する社会全体の理解が深まり,共生社会の実現に向けた取り組みが進んでいる.医療分野においても,すべての人が安心して医療を受けられる環境づくりが求められており,特に聴覚障がい者への適切な対応は重要な課題となっている.
 2024年4月1日から,障がいのある方への合理的配慮が義務化されたことを受け,日本診療放射線技師会では,2009年に策定された「聴覚障害者のための放射線部門におけるガイドライン」を改訂した.
 このガイドラインを広く知っていただき,先行施設の取り組みを参考にしながら,どのような合理的配慮が可能かを考えるきっかけとなることを願っている.
https://www.jart.jp/news/info/20240514_1158.html
 JART企画 ⑥     10月12日(日)10:00~11:00 第2会場
生殖腺防護シールド使用廃止に向けた科学的根拠と臨床現場への展開

座長 : 函館五稜郭病院,JART検査説明委員会  小林 聖子
山形県立中央病院  荒木 隆博
演者 : 福島県立医科大学  広藤 喜章
公立置賜総合病院   鈴木 凌
函館五稜郭病院,JART検査説明委員会  小林 聖子

 長きにわたり,X線検査において生殖腺防護シールドの使用が標準的な放射線防護策として推奨されてきました.この推奨は,放射線被ばくによる遺伝的影響への懸念に基づいていました.しかし,近年の科学的研究と国際的なガイドラインにより,放射線の遺伝的リスクが従来の予測よりもはるかに低いことが明らかとなり,生殖腺防護シールドの必要性について見直しが進んでいます.一方で,シールドの使用が診断画像に与える影響や,医療現場における実務的課題も浮き彫りになっています.
 本シンポジウムでは,最新の科学的エビデンスに基づき,生殖腺防護シールド使用廃止の背景とその意義を議論します.特に,生殖腺防護の歴史的背景や,廃止に至った科学的根拠,低線量技術の進展,国際的な動向について詳細に解説します.
 また,施設運用上の課題として,具体的な技術的対応,スタッフ教育,患者・家族に対するケアの方策を取り上げ,患者安全性の確保について,事例を交えた検討を行います.
 さらに,患者への検査説明を中心に,適切なリスクコミュニケーションの手法を探ります.被ばくリスクに関する過度な不安を緩和しつつ,検査の重要性を分かりやすく伝える具体的なアプローチを紹介します.多様な患者背景に対応するための説明方法やツールも提案します.
 そして,2025年3月には,日本医学放射線学会,日本放射線科専門医会・医会,日本放射線技術学会,日本診療放射線技師会の4団体により,「股関節撮影時の生殖腺遮蔽の見直し」に関する共同声明が発表されました.このように,生殖腺遮蔽の廃止を推進する動きは,国内でも急速に高まりつつあります.
 本シンポジウムを通じて,参加者は生殖腺防護に関する最新の知識を深め,現場での課題解決に役立つ実践的なスキルを身に付けることを目指します.また,活発な意見交換を通じて,東北地域における放射線技術の更なる向上に寄与する場となることを期待しています.