特別講演

10月11日(土) 14:00~15:00     第1会場

座長 : 青森県立中央病院  佐藤 兼也

『 毎朝のカンファレンスから考える北日本の放射線科診療:地域連携,教育,学会活動など 』

 

  弘前大学医学部附属病院 

  放射線診断科教授 

  掛田 伸吾 先生

 今回の発表では,我々の「ささやか」な取り組みをつうじて考えた放射線診療について発表します.私は人口約120万の福祉を担う青森県唯一の大学病院に勤務して6年となります.広大な面積を有する北日本地域では,中核病院の点在化を余儀なくされます.これは,稀少症例の分散に加え,指導医・教育者の分散をも意味し,専門的な人材育成を困難にしています.これらの課題に対して,我々は,県内の中核病院をウエブで結び毎朝のカンファレンスをはじめました(診療放射線技師,医学生,初期研修医も参加).本カンファレンスは,県内約70万市民の画像診療を対象としており,骨軟部腫瘍,脳腫瘍などの稀少疾患を毎週経験できる規模といえます.カンファレンスでは,MRI撮像シーケンスが話題になることもあり,その際は診療放射線技師の方にコメントをお願いしています.また,MRI装置における吸着事故など安全管理についてのトピックも共有できる場となっています.

 医療資源が少ない我々にとっては,「選ばれる職場」を目指して職場環境を整備することが重要となりますが,本カンファレンスは自宅や出張先からもアクセスでき,育児休暇中,定年後でも気軽に参加できます.カンファレンスでは各自が得意分野を分担しますので,1人勤務医であっても好きな領域を探求するモチベーションにもつながっています.最近では,自己紹介や近況報告する者もおり,当初の目的であった「教育」はコミュニケーションツールであるとも感じています.

 カンファレンスでは,臨床の現場における疑問が研究テーマになることも経験します.身近な話題が,学会発表を通じて論文化するまでのプロセスを体感することで学会や研究が身近に感じることになります.今回の発表では2つの研究テーマをご紹介できればと思います.ひとつは,青森県における大規模疫学研究「いわき健康増進プロジェクト」とのコラボレーション研究であり,脳画像解析により,脳健康における重要な要素を解明する取り組みです.もう一つはディープラーニング再構成技術(DLR:deep learning reconstruction)を用いて脳MRIの画質を改善する研究です.近年,MRI画像に対してノイズ低減を目的としたDLRが開発され,高分解能画像が比較的短時間で取得できるようになりました.我々は,これにアンダーサンプリングしたMRIデータに対してニューラルネットワークを用いて復元する技術(DL-Speed)を併用し,更なる時間分解能,空間分解能の向上を試みています.今回,DLR+DL-Speedを用いた新たな脳MRIプロトコールをご紹介できればと思います.