大会長挨拶

第9回東北放射線医療技術学術大会

大会長 坂本 博

(東北大学病院 診療技術部放射線部門)

9回東北放射線医療技術学術大会のホームページを閲覧いただき,ありがとうございます.本大会は,公益社団法人日本診療放射線技師会東北地域と公益社団法人日本放射線技術学会東北支部の共催による大会本部が企画運営した放射線医療技術に関する東北地域の学術大会として,本大会で第9回目を迎えることができました.岩手,宮城,福島,新潟,山形,秋田,青森と開催県の7県をまわり,前回の第8回岩手(盛岡)大会では開催担当県が2周目に突入しました.ひと回りする中で役員の顔ぶれも大きく変わり,まさに新時代の幕開けでした.本大会では,これまでの経験と課題を踏襲し,東北地域における放射線技術・診療の最大かつ先進的な学術大会となるべく,基本コンセプトを継承し効率的な運営を実現するために様々な改革に取り組むことを目標に掲げました.1点目は,大会ホームページの確立です.フレームワークを未来の大会に継承しGUIを構築するとともにデータコンテンツを長期的に管理できることを目指します.2点目は紙媒体による抄録集の廃止を検討し,電子データにて大会情報を会員に提供することを目指します.3点目は,1,2点目に関連して大会用のWebアプリなどの提供を低コストで検討しています.4点目はプログラム委員会の再構築です.昨今の放射線技術,診療領域は多様性が増すとともに,学術大会として社会的な研究倫理への対応が求められます.第6回秋田大会以降の考えを踏襲し本大会からは,会を構成するJARTおよびJSRTの各県のから委員を選出し独立型のプログラム委員会を組織することにしました.5点目は演題申込および演題審査管理システムの構築です.演題申込後の審査管理およびセッションの割り振りまでをプログラム委員会が一元的に扱えるシステムを構築することで仕事量の軽減を目指しました.以上の内容を次年度以降の大会運営に継続して「Smart Meeting」を実現すべく知恵を絞っています.

さて,本大会の「テーマ」は『Beyond All Radiversity』です.“Radiversity”とは放射線診療のマルチモダリティ化やRadiomicsを主体としたマルチタスクに加え,AIICTIoT,働き方改革など,多様化する放射線医療技術の現状を表現した造語として,Radiology diversityを組み合わせ本大会に向けて作成したものです.今や放射線技術は「ひとつの専門性を極める時代から,複数の高度な専門技術を理解し使いこなすことが求められます.現実的にハイブリットモダリティが増え,チーム医療を実現しなければ,高度な医療を提供することは困難です.次世代のために,更に上を目指して総合的,網羅的な人材育成も必要となるでしょう.この多様な時代を乗り越えるために我々は,“何を研究すべきか”,“何を成すべきなのか”,その意義をこのテーマに込めました.特別講演ではAIをテーマに「深層学習とマルチモダリティの可能性」と題し東北大医学系研究科の本間経康先生からご講演をいただきます.また,両会からの提案をもとに実行委員会が企画した「医療安全の適正化」,「マルチモダリティ」,「放射線治療」,「XCT」に関する4シンポジウムに加え,初級者向けの入門セミナー(核医学, DR,医療情報,MRI)も企画しました.恒例のJART東北地域,JSRT東北支部による企画も健在です.その他にもランチョンセミナー,機器展示と多くの企業様から本大会の趣旨に賛同し,協賛をいただいただきましたことを心より感謝申し上げます.

最後に117題の一般演題を登録いただいた発表者の皆様にあらためて感謝を申しあげるとともに,皆様と東北地域ならではの議論が盛り上がることを期待いたします.発表環境はしっかりと整えさせていただきます.本大会に参加いただいた全ての皆様が,個々のRadiversityに向き合い,考えていただければ幸甚です.それでは,1026日(土),27日(日)の2日間,杜の都仙台,仙台国際センターにて多くの皆様の参加を実行委員一同でお待ちしております.